社会福祉士の上位資格である、認定社会福祉士と認定上級社会福祉士について解説します。本コラムをお読みの皆さんのなかには、これらの資格取得を検討されている方もいらっしゃるかと思います。 認定社会福祉士・認定上級社会福祉士がどんな資格か、取得するべきかお悩みの方に向けて、■それぞれの資格の違い■資格取得方法■メリットについてお伝えしていきます。ぜひ参考にしてください。<関連コラム>コラム「わかりやすく解説!社会福祉士 ってどんな資格?」 認定社会福祉制度とは(認定社会福祉士・認定上級社会福祉士)
認定社会福祉制度は、社会福祉士の能力開発とキャリアアップを支援する仕組みとして平成24年度に創設されました。
認定社会福祉士と認定上級社会福祉士の2段階の資格が設定されています。
「多様化・複雑化する社会的援助のニーズに社会福祉士が適切に対応できるようにするため」というねらいがあります。
社会福祉士資格の取得はあくまでもスタートライン。
専門知識を有する国家資格ですが、資格の取得要件に実務経験は必要ありません。
そのため、社会福祉士資格があるからといって実践に活かせる経験やスキルを持っている証明にはなりません。
そこで、高度な知識と技術で地域福祉に貢献できる能力があることの証明となる社会福祉士の認定制度が設けられました。
認定社会福祉士制度では、「実践力育成の3つの柱」として、
1:実務経験目標
2:スーパービジョン
3:研修
を掲げており、次のようなゴールが定められています。
1.実務経験目標
実務において経験するべき事項を明示し、実務経験を標準化することで実践力を向上する
2.スーパービジョン
認定 社会福祉士
定期的なスーパービジョンを受け実践力を育成する 認定
上級 社会福祉士
スーパービジョンを行い指導力や説明力を向上させる
3.研修
認定 社会福祉士
養成課程では学んでいない専門的な知識等の習得する
認定上級 社会福祉士
実践課題に応じた知識習得・実践研究等を通じ、専門的知識の統合・ 運用を可能にする
◆認定社会福祉士
所属組織を中心にした分野における福祉課題に対し、倫理綱領(※)に基づき高度な専門知識と熟練した技術を用いて個別支援、他職種連携及び地域福祉の増進を行うことができる能力を有することを認められた者です。 ※社会福祉士の倫理綱領について ■認定社会福祉士に期待される役割
・複数課題があるケースの対応を担当・職場内でリーダーシップをとり、人材育成において指導的役割を担う・地域や外部機関との対応窓口となる(緊急対応、苦情対応など含む)・他職種との連携、職場内でのコーディネート役となり、組織外に対して意見を発信 ■認定分野
1.高齢分野2.障害分野3.児童・家庭分野4.医療分野5.地域社会・多文化分野 ◆認定上級社会福祉士
福祉についての高度な知識と卓越した技術を用いて、倫理綱領に基づく高い倫理観をもって個別支援、連携・調整及び地域福祉の増進等に関して質の高い業務を実践するとともに、人材育成において他の社会福祉士に対する指導的役割を果たし、かつ実践の科学化を行うことができる能力を有することを認められた者をいいます。 ■認定上級社会福祉士に期待される役割
・複数の課題のあるケースについての指導・スーパービジョンを行う・財務管理、人事管理、苦情・リスクマネジメントなどの組織管理を理解し、組織のシステムづくり、変革に取り組む・地域の関連機関の中核となり、連携のシステム作り、地域の福祉政策形成に働きかける・実践の科学化を行うとともに科学的根拠に基づく実践の指導・推進を行う ■認定分野
複数の分野にまたがる地域の課題について実践・連携・教育を行う 認定社会福祉士になるには
認定社会福祉士になるには、認定研修の修了ならびに、以下の要件を満たす必要があります。◆資格要件
・社会福祉士及び介護福祉士法に定める社会福祉士資格を有すること。
・日本におけるソーシャルワーカーの職能団体(日本社会福祉士会もしくは日本医療社会福祉協会)の正会員であること。
・相談援助実務経験が社会福祉士を取得してから5年以上あること。そのうち、認定を受ける分野での経験は2年以上あること。
・上記、実務経験の期間において、別に示す必要な経験※があること。
・次のいずれかの研修を受講していること。
ア:認められた機関での研修を受講していること。
イ:認定社会福祉士認証・認定機構が定めた認定社会福祉士認定研修を受講していること。
※必要な実務経験の詳細についてはこちら以上の要件を満たし、あわせて認定研修を修了することで、認定社会福祉士の認定申請ができるようになります。 (通常ルート) なお上記の通常ルート以外にも ・日本社会福祉士会の現在の経過措置意向ルート ・日本社会福祉士会の生涯研修ルート ・日本医療社会福祉協会研修ルート ・スーパーバイザー登録者ルート ・中堅ベテランルート(時限措置)での資格取得が可能です。 詳細は公式サイトをご確認ください。 認定上級社会福祉士になるには
認定上級社会福祉士になるには、以下の要件を満たしている必要があります。 ◆資格要件
・社会福祉士及び介護福祉士法に定める社会福祉士資格を有すること。
・日本におけるソーシャルワーカーの職能団体の正会員であること。
・認定社会福祉士の認定をされていること。
・相談援助実務経験が認定社会福祉士を取得してから5年以上あり、かつ指定施設および職種に準ずる業務等に従事していること。
・上記、実務経験の期間において、別に示す必要な経験があること。
・認められた機関での研修(スーパービジョン実績を含む)を受講していること。
・定められた実績があること。
・基準を満たした論文発表または認められた学会における学会発表をしていること。
・試験に合格すること。
以上、さまざまな要件があります。
認定上級社会福祉士になるには、社会福祉士資格を取得してから10年以上の実務経験が必要となります。
論文発表や試験合格が必要になるなど、認定社会福祉士に比べても相当ハードルは高いといえるでしょう。
資格取得のメリット
では認定社会福祉士と認定上級社会福祉士資格を取得することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。 まず一つ目はキャリア形成においてメリットとなるでしょう。認定社会福祉士を取得することは、社会福祉士としての実践力や専門性の証明となり、そのことをクライアントや関係者に示すことができます。 次に、クライアントに大きな貢献ができることのメリットの一つです。認定社会福祉士は、高度な知識と技術で社会福祉を実践できる能力を有すると認められた社会福祉士です。 社会福祉士の主な就業先は福祉分野の行政機関や社会福祉施設、事業所等ですが、豊富な知見と経験を元に医療、司法、ひきこもり支援など幅広い領域、複数の分野にまたがる領域でクライアントに貢献できるでしょう。 現時点で、認定社会福祉士だから「転職に有利」「給料がアップする」といったデータはありませんが、社会福祉士のキャリアを積んでいる証明として、結果的にキャリアアップの転職ができたり給料がアップすることは考えられる
でしょう。 まとめ
社会的支援のニーズが増加・多様化する日本において、社会福祉士への期待はますます高まっています。
認定社会福祉士・認定上級社会福祉士は、それらの問題に対応できるエキスパートとして今後まずます期待される存在となるでしょう。
また自己研鑽をしていきたいという社会福祉士の方にとっては、明確な指標となる認定社会福祉制度を一つの目標とするのもよいのではないでしょうか。
資格取得は容易ではありませんが、今後の社会福祉士のキャリア形成において必ず役立つものとなるでしょう。
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